社会福祉法人友愛会『光洋愛成園』を訪問して(2/5)
2018.02.05
平成30年1月18日、「光洋愛成園」に訪問させていただきました。
東日本大震災時の原発被害により、5年間の避難生活を終え、平成28年5月1日、福島県双葉郡広野町へ施設を新設し戻られた、という事でした。
平成27年4月30日、避難先である、国立のぞみの園へも訪問させていただきましたが、
相変わらずお元気な寺島利文施設長にお出迎えいただきました。利用者の皆さん、職員の皆さんとも、お元気な様子でした。
玄関 外観
寺島施設長と会長 玄関ホール
広野町は、もともと自主避難区域だった町で、8割ほど町民の方も戻っているとの事で、今は5,300人ほどが暮らしているようです。施設のとなりに、除染作業をする方々数百人が宿泊できる簡易ホテルがあるのが印象的でした。まだまだ長期間かかる作業ですが、短期間で作業員が変わるとのこと。海沿いもコンクリートの防波堤が並び、以前とは違う景色なのだろうと、天気も良く真っ青な空と海を眺めながら、当時の様子に思いを馳せた時間でした。
とても明るく広く、様々なご配慮が伺える施設でした。廊下も広く天井も高く、明かり取り窓から日差しが入り、全体的にのびのびとした印象です。機械浴も完備され将来の高齢化に備えていらっしゃるようでした。利用者さんのお部屋も広くてベッドを置いても充分にスペースがあるお部屋でした。
デイルーム スヌーズレンルーム
食堂 居室
浴室 廊下
敷地内に、「さくら工房」と「ワークセンターさくら」も建設されており、利用者さんも新しい作業場で張り切って仕事をされておられました。
さくら工房では桜の染色を行っており、ふくしま特選品大賞を受賞した事業所です。とても柔らかな暖かみのある色で、スカーフやコサージュなどの製造販売、ハンカチを染める体験会など実施されておられました。
ワークセンターさくらでは、とても高価なフルオートメーションのこんにゃく製造機で、10数種類のこんにゃくを製造されていました。新作のこんにゃくラーメンも美味しかったです!!加工味噌は、利用者さんが1日中鍋を手でかき混ぜており、1日1鍋しか出来ないとのこと。とても大変な様子でした。
移動してグループホームも見せていただきました。
センター併設の平屋のホームとアパートタイプのホームと見せていただきました。町内に1つのスーパーでは、除染作業員の方たちも多く、利用者さんの食材を購入するのも物が不足して大変とのこと。衣料品は1時間かけていわき市に行かないと替えない様子でした。ご苦労なこともまだまだ多く、本当に大変だなと感じました。
寺島施設長から、グループホームの利用者さんが高齢になったらどうするのか、とのご質問を受け、グループホームでも訪問看護や在宅医療で看取りまで行っている、と平気でお答えしたところ、「この町には高齢の医者が1人いるだけ。訪問してくれる看護師なんてどこにもいないよ」といわれました。
どの県でも市町村格差は大きく、地域移行が進んでいない地域も多いのは現状として把握していますが、医者がいない町、地域で暮らしたくても出来ない事情、地域の看取りなんて、現実としてあり得ない実情を目の当たりにした感じでした。
やはり、全国が統一したサービス体系や報酬、制度では、解決出来ない課題も多いなと感じ、また5年間もの長い間、住み慣れた町を離れ、家族と離れ移住した利用者さん、職員の皆さんに、改めて頭の下がる思いと、努力に感謝し、これから更なるご苦労に立ち向かっていただきたいと思いました。
訪問させていただき、皆様ありがとうございました。
(東北地区知的障害者福祉協会 事務局:八柳律子)